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ガンスリンガーストラトス二次創作 ~綾ノ迷イ路(あやのまよいじ)~第十二話

by
カリブ・カイ
カリブ・カイ
「じゃあ、悪土王っていう人は両方ともの世界の起源点を狙っているって事かな?」
「ご明察です、ヒロちゃん。」
「…ちゃん付けは、止めてください。」
何故だかこちらにまでちゃん付けしてくるクシーちゃんに、一つ要望を申し上げる。
「両世界の適格者同士は、自分達の世界の起源点を他方の世界の侵攻から防衛する。
あるいは、逆もしかりという形で交戦しています。」
何度も見てきた影の戦場が始まるのには、このような経緯があったのだ。
「しかし、悪土王は不可侵ともいえる双方の世界にとってもの起源点にも現れます。
悪土王の出現する場所やタイミングは神出鬼没で、このイレギュラーに、両陣営は有効な対策を出せずにいます。」
つまり、いつ現れるか分からない相手のために、越境作戦の本部のような機関は手元に戦力を残しながら、その他の起源点での攻防も継続しなければならない現状にジレンマを感じているのだろう。
「そこで、我々の考案した作戦というのが2015年に生きる者の協力のもと、悪土王の潜伏する場所を速やかに特定し、発見次第に排除を行うというものです。」
猫の手も借りたい状況という事だろうか。
しかし、見たところ適格者達は途方もない戦力を秘めている。
そんな彼らをして追跡が容易でない相手の足取りを追う事など、自分に務めるのだろうか。
そんな内心の思案を見抜いてか、クシーちゃんはこう付け足す。
「私達が悪土王の所在を掴みきれないのは、戦闘行為を行う前提でこの時間に留まれるのが3分少々までと制限があるからなのです。
時間が有限でなければ、向こうは一人・こちらは原則四人一組体制の数の利もあり、捕縛は難しくないと考えています。」
同じくらいの手練の四対一であれば、有利と見るのは妥当だとは思う。
しかし、こと一対一。しかも、こちらは歴戦の猛者などと比べればひよっこ同然だ。
もし、戦闘となれば命などないのではないか。
そして、それよりも…
「その悪土王っていう人は、3分少々の制限時間に関係なく戦闘行為を含むこの時代への滞在が可能なの?」
「はい、彼は自らのNDSF特性“精神憑依”により、この時代の者に自らの精神を送り込む事で、実質無制限の時間、この時代に滞留出来るのです。
もっとも、2115年から武器や道具を持ち込めないので、生身かこの時代で調達した道具しか使えません。」
なるほど、たかをくくるなら、相手は少なくとも体力面は一般人で、ロケットランチャーや光線銃なんて物騒で常識の通じない得物は使ってこないという事だ。
多少、見通しが楽観的になる。
しかし……、続くクシーちゃんの言葉が、心に激しい動揺をもたらした。
「先日も、悪土王が憑依した男が、銃を手にこの近隣の銀行を襲撃した…との報告があります。」
「…なんだって!?」
「悪土王は、この近隣の銀行を襲撃しました。
そこはフロンティアSにとっても、十七管理区にとっても起源点となる場所なのです。」
 
更新日時:2019/06/11 20:21
(作成日時:2019/06/11 20:21)
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