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ガンスリンガーストラトス二次創作 ~綾ノ迷イ路(あやのまよいじ)~第七話

by
カリブ・カイ
カリブ・カイ
その日の晩、久々に自宅の道場で竹刀を握った。
風切り音を伴い縦横に振るい、一足にて歩幅数歩分の距離を踏み込む。
-もっと鋭く、もっと速く
思い描くのは、“影の戦場”で見た黒衣の日本武士風の男の剣の型。
そして、次第に互いに剣を交えたらを仮想したイメージトレーニングへと移ってゆく。
夢幻のように、突如として眼前に現れる神速の踏み込み。
如何に打ち込もうとも寸差でかわす、見切りの極意を体現したような体捌き。
一本とられ膝を付く自分を見下ろし浮かべる、さも「これで終わりか、小僧?」と言わんばかりの不敵な笑み。
「く…、まだだ!!」
目の前の幻影に、そう啖呵を切る。
強くならねばならないのだ。

何時間ほど、仮想相手と立ち回りをしただろうか?
流れる汗を拭おうと、荷物入れに持って持参したナップサックからタオルを取り出す。
-…今何時かな?
時間を確認しようと、時計代わりにはこれしか持ち歩いていないスマートフォンの画面をタッチする。
液晶に表示された時間は…
「30分も経っていない?」
体感時間との違いに首を傾げつつ、汗を拭いながら体が冷えてしまわぬ内に軽い柔軟体操などもこなしておく。
そして、改めてスマートフォン待ち受け画面の時計表示を見ても同じ時間を示している。
「…時計が壊れてる。」
…訳ではなさそうだ。
スマートフォンの表示のバグなどには詳しくないが、その類いではない事は直感した。
ふと、最初にナップサックを置いた場所に目が留まる。
そこには、今手元に置いてある物とほぼ同一のナップサックが存在する。
…いや、存在しているのだろうか?
そのナップサックは、色が半透明でその向こうの道場の壁や床が透けて見える。
言うなれば、あの“影の戦場”に現れる人や瓦礫のように。
 
更新日時:2019/06/10 16:23
(作成日時:2019/06/10 16:23)
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