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ガンスリンガーストラトス二次創作 ~綾ノ迷イ路(あやのまよいじ)~第六話

by
カリブ・カイ
カリブ・カイ
『ガーディアンなんかじゃなくて、ヒロ坊はヒロ坊。』
薄れゆく意識の中、姉が何を言い残そうとしたのか。
真意は分からないが、「自分など誰も守る事の出来ない小坊主」だと。
そう聞こえてしまってならなかった。
誰も守れない剣に、自分に…何の意味があるだろうか。
分からなくなって、今までのように竹刀を持つ事が出来なくなった。

そんな事件からしばらく経って、この“影の戦場”が度々目の前に現れるようになった。
初めてそれを見た時は、事件のショックで自分がおかしくなり幻覚を見ているのかと思い、数ヶ月経った今も、自分がおかしくなっているという可能性を捨てきれずにいる。
誰かにこんな荒唐無稽な事を言って回れば、気が触れたと言われるであろうが、胸に留め何事もないように振る舞えば、“親しい身内を最近亡くした一学生”としての日常は、これまでとそう変わりなく回っていった。

そして、最近はこの“影の戦場”で戦う顔ぶれの中にいる、ある者の戦いぶりに興味を持ちつつある。
銃に比べて遥かに有効射程の劣る刀を最大の武器としているのである。
それだけではない。
その顔・姿は、以前写真で見た事のある父・祖父の姿と似ているようでもあった。
引き締まった体格と、骨太な芯の強さをもった骨格から、心身が実質剛健に鍛え上げられているのが窺える。
髪は、後頭部で髷(まげ)のように一纏めに結い、無精髭を蓄えた野性味を醸し出された風貌が、圧倒的不利な間合いで銃口を向けられようとも、不敵な笑みを浮かべる。
ところどころ擦り切れた着流しを纏った、古式ゆかしい日本武士のようなその男。
雨あられのように銃弾降り注ぐただ中を駆け抜け、一太刀、また一太刀と斬撃を浴びせる。
その姿を見て、思う。
自分がこれだけ強ければ、…姉は命を落とさず済んだ、と。
 
更新日時:2019/06/10 14:04
(作成日時:2019/06/10 14:04)
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