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ガンスリンガーストラトス二次創作 ~綾ノ迷イ路(あやのまよいじ)~第三話

by
カリブ・カイ
カリブ・カイ
生まれ育った家は、町で小さな剣道の道場を営んでいた。
だからか、自分も物心ついた頃には竹刀を手に稽古に励むのは日常となっていた。
自分が中学生くらいになった頃だろうか。
親に近しい大人達の世間話などが、折りにつけ耳に入るようになった。

「柳野原(やなぎのはら)さんの所のお子さん、まだ子供なのに剣道の腕前は、大人顔負けなんですって。」
「この間なんて、部活の剣道の全国大会で優勝したらしいわ。しかも、三年連続の連覇で。」
そんな評判に、親も誇らしげに
「娘は…、綾は私達の自慢です。」
柳野原 綾(あや)。
それが、姉の名だ。
そして…、

「お、頑張ってるね。ヒロ坊。」
そう言って差し出されたタオルを受け取りながら、
「坊って呼ぶのは止めて…って、前も言ったでしょ。
子供扱いしないでよ。」
自分はもう子供ではないと思っているのに、名前の後ろに“坊”と付けて自分を呼ぶ姉に抗議を送ると、ひたすら竹刀を振り込み、止まらないほどの汗が伝う頬がいっそう紅潮する。
「えー、じゃあさ。
私が卒業した後の剣道部でさ、三連覇してみせてよ。
なるんでしょ?
何て言ったっけ、あのヒロ坊が好きな子供番組の…
そう、ガーディアン。
ガーディアンになりたかったら、そのくらいは出来ないとね。」
尊敬する姉といえど、聞いていて恥ずかしくなる。
この言い間違いだけは改めてもらわないとならない。
「あのね、綾姉。
ガーディアンは子供番組じゃない!
特撮だよ!
間違えないで!!」
「…あ、うん。
その綾姉呼ばわり止めてくれたら、もう間違えないよ。
その綾姉っていうの、友達の前とかだと、少し恥ずかしいんだけどな。」

そんな他愛ないやり取りを繰り返しながら、ついに姉は自分の事を最後までヒロ坊と呼び続けた。
そう、…最期の時まで。
更新日時:2019/06/10 10:58
(作成日時:2019/06/10 10:58)
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